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 映画を観てきた。それは歴史の結末を遡って撮ったような映画で、南アフリカ共和国のアパルトヘイトがテーマのものだったのだけど、私はこういう類の映画を観ると、何を考えたらいいのかわからなくなってしまって、少しみじめになってしまう。

 その映画では黒人を差別する白人の姿が露骨に表現されているのだけど、その姿をサイテーと言えるかというと、私にその権利は絶対にないし、価値観のシャッフルされるときに生きていて、巻き込まれていないと、いけないわけで、何に則るか決めなければいけないわけで、そういう、世界にきちんと巻き込まれていた人たちを、私がサイテーと言える権利は、絶対になくて、私はもう絶対ずっとサイテーなんて言えなくて、私はそれを悲しむべきなのかどうなのか。
 私は巻き込まれるべきなんだろうと思った。思想を持つべきなんだろうと思った。今になら、今の、よくわからない難しいことを、ちゃんと考えて、世の中に巻き込まれていないといけないんだと思う。そうじゃないと私はずっと誰にもサイテーと言えなくて、そんなこと言わなくてもいいんだけど、とにかくずっと誰にも、どの決断の前にも、私が一番サイテーなんだ。ああ、勉強しなきゃいけないのかなあ。

 この映画の主人公は黒人びいきだったがために周囲から謗られ、脅され、妻を泣かせる。それはどれだけ正しいことなんだろう。家庭の幸福を省みずに信念に従うことは、ただささやかな幸福を守った人間の行為に比べて、どのくらい正しいことなんだろう?まったくわからない。どんな大義のためにも、家庭の幸福だけを守る人間がいて、そのために他人がどれだけ傷つこうが、黒人が死のうが、倫理がそれを許そうが、許すまいが、ただ自分の手の届く範囲の幸福(息子の進学や、妻がお友達と楽しげにするティータイム)には代えられないという人間がいて、そういう人間は、他を殺し、排斥し、扇動するのだけど、しかし私はそれをどうしても、「許せない」、と言うことができない。どうしても、それは仕方のないことのように思えて、いじらしくさえ思えて、どうしても、どうしようもないことに思えてしまう。
 きっと私以外にも、家庭の幸福を守る人々を否定できない人間がたくさんいるはずで、そういう人間たちが自分のコロニーを保持しながら息をして、それが積み重なってひしめき合って世の中が出来ている、という図を想像したら、ぞっとした。それはなんってぎこちない構造だろう。
 太宰治は「家庭のエゴ」が許せずに幸福を壊すしかなかったのかもしれなくて、それは真摯だと思うし、ひたむきだと思うし、清廉だとさえ思う。だけどそれがどれだけ正しいのかわからない。それがどれだけ尊いことなのかわからない。だって、だって、妻の涙を省みずに、黒人にチョコを渡した主人公の行為にだって、なにかグロテスクなものが含まれている気がしてならない。なにがどのくらい正しいのか、結局みんな弱々しいのがいけないのか。本当に世界はそんな風にできているんだろうか、私にはなにも見えない。ただ、太宰治が目の前にいたら、私は絶対惚れてしまうんだろう。

 

 私は考えるのが下手だと思う。つくづく思う。きっとこの映画を観て私は別のことを考えるべきだったし、少なくとも、人間全部に考えを広げるべきじゃなかったんだ。私ひとりだったんだ。太宰治なんかにも手を出すべきじゃなかったんだ。私の思考ゲームは結局いつもどこにも辿りつかずに終わってしまって、私はいつもなにも得られていないような気になる。ともすればひとりよがりになってしまって、なんというか、私はものを考えるのが下手なんだろう。
 「考えるヒント」という本をよく書店で見かけるのだけど、私それを読むべきなのかしらん。けど私は、読まないんだろう。だって面倒だし、そういう本は、ねむたくなってしまうし。そういうのと同じようにして、私は参加しないんだ。そういう種類の卑怯はなんて名前なのか、それがわかれば私ももう少しマシになれる気がしないでもないんだけどなあ。
 だけどなあ。馬鹿だからなあ。どうしてもなあ。ふわふわ。



manndera.jpgマンデラの名もなき看守
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