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 傘をさして歩きながら中島みゆき『たかが愛』を歌っていたら、いつのまにか後ろに知り合いのひとがいて、「羞恥心とかはないの?」って訊かれた。なんだかすごくまっすぐ訊くものだから、思わず、ない、です!って言っちゃったけど、どうかんがえても恥ずかしかった。

***

 財布なくして、財布なくしたなあと思いながら暮らしていて、銀行とかに電話した方がいいのかなあとか、クレジットとめないとならないよなあとか、思いながら暮らしていたら、大学から電話があって、拾った人が中に入っていた学生証を見て届けてくれたみたいで、ほんとう、うわーって、声出しちゃった。拾ってくれた人の連絡先を聞いて、お礼をしようって電話をかけたけれど、現在使われておりませんって言われた。どうも、ありがとう、ございます。恩人えっくす。
 るんるんして友達にそんなことを話したら、「財布を落とすって、意味はわかるけど、本当にしちゃうっていうのが、全然わからない。普通に過ごしてれば財布を落とすなんてありえないはずなのに・・・理解ができなすぎて怖い・・・気持ち悪い・・・でも理解ができないものをそんな風に切り捨てたくなんかないよ・・・もにもに」とか言ってて、なんか葛藤を生んじゃって、申し訳ないなあと思った。気持ち悪いと思ってくれたって、別にいいんだよって言って、度量の広さをあぴーるしてみたのだけど、あんたがそう思っていることが別にどうだっていいわって言われた。
 そりゃそうだなあと思った。

***

 友達がギターを教えてくれた。公園で二時間半ぼらんぼらん弾いていたら、指が痛くなって、指が痛いよって泣き言言ったら、考えるんじゃなくて感じるんだよって言われた。指が痛いと思った。

***

 さむくなった。川ばかりみていた夏だった。同じことをくりかえしくりかえし考える作業は、体の中に水路を掘るようだと思った。血が同じ道を何度でも辿るから、擦り切れて痛くなってしまう。もの思わぬ葦になりたいなあと思った。思ったのだったか、思わなかったのだったか。
 故郷から遠く遠くまで来てしまったひとが、自分の生まれた町の海を、ほんとうにきれいなんだと言っていた。あそこに帰るんだろうと思う、と言っていた。私の目の前に川があって、浅さと深さで色の違うのが、ほんとうにきれいなんだと思ったから、私はここに帰るのかなって、いつもいつかここに帰るだろうかって、考えた。自転車倒して座り込みながら、草まみれになりながら、葦になりたいとかぼそぼそ言って、嘘ばかり話して、なにが、どうあったって、こうして変わらずたったひとつだろうって。私は思わずむせちゃって、なにひとつ失うことさえできないだろうと思った。損なわれないみにくさを思った。葦になんかなりたくないよと言って、小石を握ったり手放したりしながら、そこにある草ぜんぶに枯れろよと笑った。すべての景色は冷たくて明るい。背中の裏までずっと照らす異様な夕焼けに、やさしく血管をつぶされて、そういうところが好きさと思った。
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