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日記
「想像を絶するほど愛していた」
2010-06-24-Thu トラックバック : 0  コメント : 0
 お昼にバイトに出かけて行ったら、お客さんはひとりで、店長はうちひしがれていた。酸素が余ってるって思った。私クビになるって思った。正直私の時給はもっと下げてもいいんじゃないかと思う。
 自分の分のコーヒーを淹れている店長の横でお皿を磨いていたら、店長は「今日ワールドカップで日本戦うから、お客さん来ないよね」って言った。何時からですか?って訊いたら、店長は、「三時」「夜中の」って言った。ワールドカップの影響すごいと思った。外はとても晴れていて、葉っぱの裏側がきらきら脈を見せつけていて、川に行きたいと思った。みんな川に行っちゃったんだろうと思った。私たちはわざわざ喫茶店の奥にいて、お客さんも店長も従業員も、コーヒー飲んでた。

***

 サッカーのことは、サッカーというか、スポーツのことはあまねく、よくわからないし、ワールドカップってなにかしらって思っているのだけど、でも、人気の試合が深夜にあったりすると、向かいのマンションのカーテンが深夜なのにぱちぱち、たくさん光っていて、それがちらと見えるのはちょっとたのしいことだった気がする。前にワールドカップかなにかあったときも、向かいのマンションを見るのがたのしいと思った気がする。自分の階下の部屋も、階上の部屋も、いま青とか緑に光っているって、あっち側のひとは知れないままにいて、それで、代わりにこちら側の明かりは向こうからしか見えないっていうのが約束で、私は電気を消した部屋で、コンソメスープを飲みながら本とか読んでて、ときどき窓の外を見ると、そんなことになっていて、たのしいなって思った。そのうちに電気がぽつぽつひとつずつ消えはじめるから、ああ寝るんだなって思う。同時にぱちぱち光っていたひとたちが、違った色のカーテンの向こうにほろほろといて、ほろほろと眠る。電気が消えない部屋もあったりして、もう朝まで起きてることにしたのかしらとか思って、そういうのがわりあいたのしくて、たとえば私はひとでなくて電気を見るのが好きなんだって、そんな気がして、ちょっと悪趣味な気がしないでもないけれど、ね。わざわざ起きていたりはできない、けど。ふにゃふにゃねます。ふにゃふにゃ。

***

 「ああ、あたくしの大切な方!不幸は伝染病みたいなものですわね。不幸な者や貧しい人たちはお互い避けあって、もうこれ以上伝染させないようにしなければなりません。あたくしはあなたが以前のつつましい孤独の生活では一度も経験なさったことのないほどの不幸を、あなたに持ってきたのでございます。それを思うと、あたくしは苦しくて、死にそうですわ。(『貧しき人びと』)」
 ワルワーラが可愛すぎてしゃっくりが出るよ!「不幸な者や貧しい人たちはお互い避けあって、もうこれ以上伝染させないようにしなければなりません。」だって!ワルワーラ可愛い!お互い避けあって!だって!

***

 雨が降っていて、映像は走る車のフロントガラスから撮られていて、その空はぎゅうぎゅうと低くて、奥のほうが白く光っていて、道路は黒く濡れていて、夜で、っていう、そんな映画のワンシーンをずっと覚えていて、むかし見たんだと思うけれど、なんの映画だろうって思っていて、それって「パリ、テキサス」だったみたい、って、今日たまたまわかった。とっても短いシーンだった。十秒間くらいかもしれない。やっぱりきれいだった。世界の終わりみたいな雨だった。世界の終わりに、世界の終わりのいちばん端っこに向けて走ってるみたいな雨だった。
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