• 12 «
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • » 02
スポンサー広告
スポンサーサイト
-----------
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
私は私としてあなたを愛し平和を乞い敵を憎み血の夢を見ている。私はひとつの点であって私は私のひとつの愛と私のひとつの傷のほかに私の体を持たない。そんなことってばかばからしいくらい快楽なので気色悪くもなるのだ。
「私は全世界に傷つけられた」って私を睨んで泣いている女の子に私はキャラメルを渡して優しく言ってあげるんだ。あなたを傷つけたのはあなたの敵だ。私を傷つけたのは私の敵だ。私の愛は私のもので、世界は私を所有しない。彼女はこのクズって言って私をくびり殺すだろう。私が願うのは彼女の腕力だ。どうか許さないでくれよと思う。鳥が空の高いところを風に流されながら飛んでいって、横断歩道を親子が渡っていって、車が親しげに左折を待っていて、喜びがたまらなくてだれかに許さないでほしかったのだ。夢のなかの草原で寛容さが虫を潰しているのを見たのだ。心臓から体にむかって冷たいものがどくどく打たれていた。私は、私のしなかったことの、なにもかもでない。あなたはあなたの見なかったもののなにもかもでないだろう。私が私でしかあれないなら私は私を蔑みたくだってなる。私がチョコレイトケーキにさっくりフォークを刺した瞬間にだれかにさっくり恋人を刺されたひとが、十年後に横断歩道の向こう側で私を睨んでいた。私はそれを眺めていた。信号が煌々と赤く光る新月の夜だった。映画の場面を真似たようなまばたきをした。信号はいつか青になって私はあのひとが手に持つ包丁でさっくり刺されるのだ。冬の新月の夜に。私が願うのは彼女の腕力だ。そして許されていた。憎まれてさえいないのだった。なぜなら私に関係はなかった。願うのは私だった。ねだっているのはいつも私だった。彼と彼女に。父と母に。地図と映像に。恋人と恋人に。横断歩道の前に立って、信号の青を本当に待つような瞬間を待つ。「彼女はこのクズって泣いて私をくびり殺すだろう」。願うのは彼女の腕力だ。豚のような希望だ。そしていつも彼女の腕は青白く細かった。紺色の脈がうっすら手首に浮いていて魂の色を思わせた。
冷たい信号機に額をこすりつけるような冬の新月の夜には発砲がしたいし、誰かの発砲に死にたい。なにがどこまで嘘だったって、死んだふりくらいしていたい。愛の言葉はあるだろうか。凍えた街で突然に信じるような。過去についての百の質問に惰性でこたえる午後を過ぎ、あるのは静かな街だった。平和を愛する夜だった。
スポンサーサイト
page top
Copyright © 2017 八帖帳の犬. all rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。