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 ともだちの家でともだちのつくったポトフをもぐもぐしていたところ、ともだちが、バイト先の人が冗談通じなくて困る、私はがんばってたくさん面白いことを言っているのに、10回に1回くらいしか通じなくて、もしぜんぶ通じていたら私は今頃コメディキングなのに、というようなことを言っていた。コメディキングってなんだろうと思いながらポトフをもぐもぐした。なにか冗談言ってみてよ、って言ったら、ともだちは茹でられてスープの中でぷかぷか浮いている白いソーセージを、フォークの先でころころまわしながら、「水死体!」って言った。どうしようと思った。冗談ってなんだっけ、と思った。心の深いところで大笑いしたよって言ったら、ごめん、って言ってた。変な空気になると気持ちよくて・・・って言ってた。変態だと思った。

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 真夜中、貨物列車がざーざーと走っていくのを見て、明かりが一切漏れないその姿はなんてうつくしーだろーと思った。森と森のあいだをざーざーと走っていくその真っ黒な影が、影として景色に莫大な違和感をざーざーと豪雨する。故郷の首をすぱっと轢いて、やつは走っていった。

***

 自宅のシンクで線香花火をした。18時の台所の薄暗さの中、窓からは家に帰る子供たちの自転車の音が聞こえていて、花火の芯はじゅうじゅうと濡れたシンクの底に落ちた。花火に照らされて、シンクにひっついた水滴がちらちらと光っていた。火薬の匂いがして頭がとろけた。棒立ちになって、いくつもの線香花火に火をつけては捨てた。まな板に立てた蝋燭がなにか、悪い腫瘍のように見えた。
 将来のことを訊ねられると、一瞬頭に金魚鉢が浮かぶ。それは外から内から少しずつ汚れていて、砂っぽく濁っていて、水は入っていなくて、底には小銭とレシートが溜まっている。古い風鈴みたいに見える。花火が無言で光っているあいだ、私はなぜだか、今あの金魚鉢の隣にいるのだと思った。埃っぽいそれの隣に立って私は花火に火をつけては捨てた。閉まりの悪い蛇口から水滴がぽとぽと落ちるたび、金魚鉢の中の小銭がからんころんとかき回されるみたいに思えた。夢のようだった。私はうっとりとして、少し吐きそうで、台所の陰影の中、いくつかの機能があっさりと生きているのを感じた。私は迷いながら宙に浮かんだ手を握っている。
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