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日記
自由落下に空気抵抗のてのひら
2010-07-07-Wed トラックバック : 0  コメント : 0
 朝、よく寝たから気分がよくって、朝ごはんにジャージャー麺食べたから満ち足りていて、パットメセニー聴きながら自転車に乗って下り坂をびゅんびゅん駆けていたらすごくこけたのでびっくりした。すごくこけた。下り坂は気をつけなきゃならないと思った。バス停のすぐ横だったけど、並んでいるひとを巻き込まなくてよかったと思った。倒れた自転車を起こそうとして失敗してもういっかいこけた。バスを待っている人と目があった。
 膝から血をだらだら流しながら大講義室にしゅって入って座った。すこし遅刻していた。隣の知らない女の人が「血でてますよ」と教えてくれた。それは気づきませんでしたって言って、気づいてたけど、どうしようと思って、そうしたら女の子はウェットティッシュをくれて、「こけたんですか」って言った。膝に擦り傷があるのを見るとひとはすぐにこけたと思うんだから、もう、って思いながら、こけましたって言った。女の子は親切に、キズにシュってかけて乾かすスプレーを貸してくれた。なんて親切です!って思った。なにかのスポーツのマネージャーをしていて持っていたのだって。私はてっきりすごくよくこけるひとなのかと。

***

 大学の生協でおひるごはんを買ったら「七夕だからくじをひいていいです」と言われて、照れながらくじをひいたら、29って書いてあって、「にじゅうく」って私が言ったら、「当たりですよよかったですね」と言ってレジのひとがビニール傘をくれた。青の。私は今日、なんと、雨が降るのじゃないかと思って、傘をひきずって歩いていたから、あ、嬉しくないなって思った。でももらった。傘を二本ずるずるひきずって帰った。二本の傘の長さが違うから、なんだかうまくいかなくて、傘の先がつんかんつんかん足に当たって、ちょっと痛い、ちょっと痛い、と思いながら歩いた。雨が降る前に家に着いた。

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 電車を降りると草の匂いが酸素より先に喉につまる。夏だなあと思って、駅の階段を昇りながら、つまり、虫が生きて、鉄が熱くなって、アイスの種類が多くなる、夏だと思った。うんざりして、山の方を見た。じんじんと蒸されて山が光っていた。夏は無音だからなと思う。虫がぎーぎー鳴くせいかもしれない。夏は物音ひとつしないような静けさで、衣擦れもぜんぶ濁った空気に吸い込まれて、言葉と行為がすべて、公然と丸め込まれ、無いことになって、巨大な水あめみたいな空気にくるりと巻き取られてどこかにいってしまう。だから指先ひとつ動かすのもおっくうで、つまり、世界からのバック・グラウンド・ミュージックがないんだよ!とか言いながら、床に転がってアイスキャンディを呑む日々です。あつい。そうでなくて、つまり、世界からのバック・グラウンド・ミュージックが大きすぎるんだよ!ってお隣さんに文句を言う夜です。あつい。こんなんじゃなんにも聞こえないよ。うんざりしちゃう。お隣さんに文句を言われるのは私です。ゴミを出す日は守らないとだめです。冷蔵庫がからっぽ。宇宙が地球をしめつけて真顔で、こわいなあ。
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