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 「自転車のハンドルってつまむんじゃなくて握るんだよ」って言われて握ってみたらとても上手に走れた。世の中は情報戦だと思った。

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 去年のクリスマス近く、私はともだちと化学室にいて、出るべき授業はたぶん、あったけど、なんだかそれはどこか遠い教室まで行かなきゃならないというので、億劫で、化学室の寒さに驚愕しながら二人で座り込んでいた。そのうちともだちはUNOがしたいと言い出して、走ってコンビニにUNOを買いに行った。私はだれもいない化学室で眠っていた。だれかがつくった分子の模型でできた小さなツリーが、電飾を巻かれてぴかぴか光っていて、きれいだなって思って、これをつくったひとに会いたいような気がするなって思っていた。それで起きたら3時間半くらいたっていて、びっくりして自分の教室に帰ったらだれもいなくて、部活動の声が聞こえていて、ウノはどうしたんだろうって思いながら帰ったのだった。
 きのう、あのときのともだちの部屋に行ってともだちがゲームをしている横で半分眠っていたら、食器棚の中にそのツリーを見つけてびっくりした。これ化学室にあったやつだねって言ったら、それ私がつくったんだって言って、彼女はゲームの中で薙刀を振るっていた。あげるって言われたけどいらないって言った。いらなかった。なんだか私は嬉しかった。嬉しかったな。どうしてこういうことが嬉しいのか考えようとした。別にツリーはひょうたんでもよかったし、手編みのセーターでも枕でもよかったのだけど、それからともだちと私が、ぜんぜんともだちじゃなくて、親しくなかったとしても、たぶんよかったのだけど。ごとごと音が鳴っていてなにかなと思って見たらともだちの飼っているリスがともだちのマニキュアの瓶を順々に倒しながら歩いていた。ともだちはゲームの中でひとをころしまくりながらリスを止めてって叫んでた。リスが倒したマニキュアの瓶がフローリングにごろごろ転がって、私はベッドに体育座りしてツリーを見ていた。ともだちはリスを止めてって叫んでた。私はなんだかとてもたのしかったから、笑って、なんだかとてもいいなって思ったから、眠った。起きたら3時間ともっと経っていてだれもいなくなっちゃうかもしんないなって思ったけど、でもべつにそれでいいなって思った。私あのツリー見たとき、なんだかいいなって思ったんだよ。ほんとだよ。だれかがどこかできっと同じように思ってるだろうって、思って、言わないことばかりなのだけど、でもさ。きれいなものを見ても、きっとだれかが同じようにどこかできれいだと思っているし、もしかしたら隣にいるひとにそれを伝えているかもしれないし、だから、って、私は言いそびれてばかりいるけど。酸素に溶けてしまいたかった。でもだれもいなかったかもしれない。だれもいなかったかもしれないんだよね。友達のベッドは濃い緑でふかふかと気持ちよかった。私はスリみたいだと思った。人にぶつかって財布や時計なんかを盗ってそれでさようならするの。なんだかそれはとても楽しかった。ともだちが怒っている声が聞こえた。たぶんリスを止めてって言ってる。私はおかしかった。私はもっと怒られていいと思った。だってツリーはあなたがつくったんだから。リスは部屋を疾走していた。ケージから出したのは私だったから、私はもっともっと怒られていいと思った。
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