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 なんでこんなにしょんぼりしなければならないんだろうと思ってスープをごくごく飲んだ。それはだれかに死ねと言われるからさ。お風呂につかりながらお湯を手ですくってこれってダシがとれてたりなんかしないのかなあなんてぼんやり考えながらとぼとぼ泣いて、なんで豚骨を連想しながら泣いたりしなければならないんだろうと思って、それはだれかに愛されたいからさ。
 眠るまえ、すべての運命的でない行為に接吻する。いつまでたってもチャイルドなのでこの先何度もたっといものから逃げ出すだろう。なくてもいいものがあるということに何年の夜を安堵するんだろう。なくてはならないものがいまだあるということにこの先どれほど恐怖するだろう。今でも夜道で口裂け女を思い出したりして、こわがりだからどうにもだめだな。そんなにじょうずにたたらも踏めない、今日。

***

 残されるのはフェチシズムだった。鎖骨に足首に瞳孔に靡いてる。だれかのつま先を句読点を、舐めたい!

***

 とても久しぶりに先輩から着信があり、大学行ってる?なんて言われて、どうせ行ってないでしょーなんて呆れた声を出された。先輩こそ、って返したら、私留年した、って告白されておもしろかった。「先輩が後輩になるという非常事態によく笑っていられるね!」って言っていた。先輩浪人してましたもんねって言って、かわいそう!って笑った。「私、もうね、京都で仲居になろうと思って、携帯を解約して京都に行こうとしたの。そしたら新幹線のチケット買っているときに親につかまって」「びっくりした」「ところでこのあいだ鎌倉で海を見たのだけど、波がぜんぶこっちの方向に向かってきててね」「ぜんぶだよ」「びっくりした」。たとえば地獄に生まれた天使はこういう声音で話すかもしれない。アイラブユーなんて思いながら電話を切った。

***

わからないならはっきり言ったっていいけどね、とひとの顔を見て黙りこくる。そんなのはジョークだ。
それでもやっぱり、はずかしくていえない!
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 父に優しくされて無性に切ないというような夢をみて起きると泣いていた。朝食にキャベツを酢につけて食べた。毛布を押し入れにしまって、そこで遠くに行った友達が昔にくれたさまざまな虫の標本を見つけた。積み上げた箱はなだれていて留められた虫は崩れていた。このあいだの地震でだろうかって、箱を全部押し入れから出した。クリスマスツリーなんかを収納したいと思う余白ができてそこには当然猫が収まった。
 ベランダでごみ袋に虫を捨てた。オレンジ色した蝶の羽根は枯れ葉と同じ散り方をした。粉々になったモルフォ蝶は割れたアルミのようだった。虫を捨てる午後のはじまり、ベランダの柵に柔らかなものが滞っているのを見る。隣の部屋のテレビからF1カーが走る天文学的な音が聞こえていて、そのうちに猫が保護者みたいな顔をして餌をねだりにやってきた。猫はキャベツを食べないのだった。飼っていた魚にセナという名前をつけていたことがあった。アイルトン・セナという名前は世界で一番かっこいい名前だと思った。セナが夭折したみたいに魚もすぐに死んでしまった。薬品じみて真っ青な魚だった。その色ったらなかった。
 私たちにできることはただ、私たちの生活を美しく耕すことだけなのだと、誰かが言っていた。生活の在りかを知らないならば美しくできる土地はないのだろう。私はベランダの柵に寄りかかりながら風に少し飛ばされていく虫の死骸の横にあって、そこはどこでもよいのだった。耕されるためばかりにあるのではないだろう、土地も。世界の代わりに醜くなるような無血の英雄が空に煙る。その英雄はスープなんかに降りかかり繊細な料理をジャンクフーズに変えていき、安っぽい私の味覚をうっとりさせてしまうのだ。かなしくなるのは、それらを残らず吐き出すための時間さえまた満足にあるのだろうということだった。私は今や、耐え切りたいのだ。
 いつだったかひとのつく嘘がわかるのが嫌だったことを思い出していた。お姉さんとおじさんと、あの子とこの子と私の嘘。ママと私と先生の嘘。それが思い違いでも卑しさでも。ベランダからは鉄塔が見えた。想像を絶して晴れていた。冷まされて無音の絶大な空だった。いまなお私はすべてのものに騙されている。隣の部屋のテレビから天気予報が聞こえてくるのをなにとはなしに待っている。
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日記
誰も僕たちをあたたかく包まなかった昨日と今日
2011-03-05-Sat トラックバック : 0  コメント : 0
ほとんど引きこもって昼も夜もなくタクティクス・オウガばかりしていた。目がいたい。
視力は日ごと低下するし頭は少しずつ悪くなる。心は狭くなるし足も着実に遅くなる。風邪が治ったと思って外に出て、帰るころにまた風邪をひいている。
すべての話をまた今度にしてほしい。すべての話を小さな心でしてほしい。最低な笑い飛ばし方だけが好き。目の前にいるひとのくしゃみばかりを妄想する。いつか私はだれかに胡椒をぶっかけて、きっと捕まっちゃうのだね。

***

 夢の中の電車の中では男の人が床に座り込んでいた。優先席の前の床にぺしゃんこに座り込んで男の人は、俺妊娠してるからここ座っていいかなって訊いていた。それは大きな声だった。酩酊していたし泣いていた。乗客は彼を見ていた。俺妊娠してるからここ座ってもいいよねって男の人は半ば叫んでいた。誰も答えなかった。優先席には誰も座っていなかったので彼は座ればよかった。頷くつもりの視線を投げたら目があった。男の人は座り込んだまま吐きそうな声を出してにやにや笑っていた。男の人は私の降りる駅のひとつ前の駅でへなちょこに降りていった。私はとてもほっとして、誰も座らないエンジ色のシートを見ながら涙のことを考えた。今朝のことを思い出し、焦げついたフライパンのことを思った。最近の悲しい出来事を考えて、こなさなければならない煩雑なことを数えた。駅に着くと降りた。電車に意味があるのは降りるときだけだって、夢のなかで私が思った。優先席には誰も座っていなかったので彼は座ればよかった。妊娠していないのだとしても。
 起きた後にその夢が以前に見た光景そのままだったことに思い当たる。私のみる夢はいつも私にだけ法則を超えさせないから、夢の中で私は、羽根があっても道路を歩くし水中の社会で息ができなくて死ぬ。いつの日も目配せは叶わない。そんなわけだから思い出はいつも結末まで似ていた。たとえば頷くくらいのことができたらよかった。変わりなく心が卑劣だとしても。
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私は私としてあなたを愛し平和を乞い敵を憎み血の夢を見ている。私はひとつの点であって私は私のひとつの愛と私のひとつの傷のほかに私の体を持たない。そんなことってばかばからしいくらい快楽なので気色悪くもなるのだ。
「私は全世界に傷つけられた」って私を睨んで泣いている女の子に私はキャラメルを渡して優しく言ってあげるんだ。あなたを傷つけたのはあなたの敵だ。私を傷つけたのは私の敵だ。私の愛は私のもので、世界は私を所有しない。彼女はこのクズって言って私をくびり殺すだろう。私が願うのは彼女の腕力だ。どうか許さないでくれよと思う。鳥が空の高いところを風に流されながら飛んでいって、横断歩道を親子が渡っていって、車が親しげに左折を待っていて、喜びがたまらなくてだれかに許さないでほしかったのだ。夢のなかの草原で寛容さが虫を潰しているのを見たのだ。心臓から体にむかって冷たいものがどくどく打たれていた。私は、私のしなかったことの、なにもかもでない。あなたはあなたの見なかったもののなにもかもでないだろう。私が私でしかあれないなら私は私を蔑みたくだってなる。私がチョコレイトケーキにさっくりフォークを刺した瞬間にだれかにさっくり恋人を刺されたひとが、十年後に横断歩道の向こう側で私を睨んでいた。私はそれを眺めていた。信号が煌々と赤く光る新月の夜だった。映画の場面を真似たようなまばたきをした。信号はいつか青になって私はあのひとが手に持つ包丁でさっくり刺されるのだ。冬の新月の夜に。私が願うのは彼女の腕力だ。そして許されていた。憎まれてさえいないのだった。なぜなら私に関係はなかった。願うのは私だった。ねだっているのはいつも私だった。彼と彼女に。父と母に。地図と映像に。恋人と恋人に。横断歩道の前に立って、信号の青を本当に待つような瞬間を待つ。「彼女はこのクズって泣いて私をくびり殺すだろう」。願うのは彼女の腕力だ。豚のような希望だ。そしていつも彼女の腕は青白く細かった。紺色の脈がうっすら手首に浮いていて魂の色を思わせた。
冷たい信号機に額をこすりつけるような冬の新月の夜には発砲がしたいし、誰かの発砲に死にたい。なにがどこまで嘘だったって、死んだふりくらいしていたい。愛の言葉はあるだろうか。凍えた街で突然に信じるような。過去についての百の質問に惰性でこたえる午後を過ぎ、あるのは静かな街だった。平和を愛する夜だった。
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日記
誰もは元気にしているだろうか
2011-01-07-Fri トラックバック : 0  コメント : 0
 パソコンはご機嫌と不機嫌を繰り返していて、私は、でも、こいつをごりごり使う。冬なんかに死んでくれるなよ。電気屋さんまでさむいんだからね。

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 それは真顔でできる話じゃないよって言ったら、真顔でしなきゃならない話でしょう、って言われて、わたし、そんなの、笑っちゃって、真顔でしなきゃならない話なんてこの世にひとつもないと思ったの!って言ったら、怒られちゃった。お、おこられちゃった。ごめんなさい。ちゃんとすわる。

***

 お知らせですけれど、新年です。

***

 やさぐれたいな、やさぐれたいなって思いながら町をてくてく歩いて犬に吠えられて、足りないのは余裕だろうかって思ってサンドイッチ食べてあくびばっかりしたのです。ポケットにサンドイッチ入れたらひどいことになってそらそうねって思ったのです。私のことを勘定に入れて、自分のことを話す他人に、恐怖してばっかりだから、私のこと知らないものばっかり好きで、クールなところが好きだ、きみ、って、窓々に話しかける、のだった。
 私は私のキッチンのあの常夜灯に献身したい。それでも靴の紐を結びなおすのにうつむいた瞬間にはいつも誰かのことを思い出したりしたい。なにが実現しなくてもいい気がした。犬と猫とからすとねずみになってゴミを漁りながら雨も風も防げないような部屋で憧れに鼻を押し付けてくんくん嗅いで泣きながら寝たい。くんくん嗅いで泣きながら寝て起きたら常夜灯に一礼する朝食をしてまた他人を静かに蹴り飛ばしに出かける、とか。なんて言えばいいのかわからないんだよ。たぶん好きなんだ。目ん玉蹴りだしてあげたい。それから、それからダンボールみたいなコンクリートみたいな大地で、どうにかしてここで泣きはじめたい。世界は破れていて羊水は川になって海に注いで、私は、おぼれちゃいたいくらい、それらのことが、なつかしいくらい、好きかなにかで、困るよ。困っているよ。
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